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インドネシア:コメの収穫量データを改ざん

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データの改ざん

1月22日、インドネシア政府はいつも通り改ざんされたコメの収穫量データを発表した。農業の補助金を持続させる狙いとみられるが、今回の改ざんにより今後インドネシアは深刻なコメ不足に見舞われる可能性がある。

発表されたデータが正しいのならば、就任以来、食料自給を課題として挙げていたジョコ・ウィドド大統領の悩みの種が一つなくなるということになる。

しかしデータは改ざんされている可能性が高い。

「データは大幅に誇張されている。実際は、2月と3月に予想されるコメ不足に備え、備蓄を増加させている段階である。」と高給官僚(匿名)はいう。

また、コメの備蓄量を見れば、発表された収穫量データが改ざんされていることが明らかになる。発表された収穫量データが正しければ、倉庫はコメでいっぱいになっているはずであるが、何故か毎年1月になると、コメの備蓄量はゼロにリセットされる。

コメ収穫の実情

ボゴール農業機構(Bogor Institue of Agriculture)のサントサ教授によると、発表された収穫量は、穀物に関するデータの世界基準とされているUSDA(アメリカ合衆国農務省)の予想を15~17%上回っている。USDAが今年のコメの収穫量を3630万トンとしているのに対し、インドネシア政府は4720万トンと予想している。

昨年、インドネシアはコメの収穫量は前年比で7%増加していると発表した。しかし実際は、昨年東南アジア地域はエルニーニョのため降雨量が少なく、収穫量は例年より少なかった。例えば、タイの予想収穫量は例年に比べ大幅に少なかった。

では、インドネシアの収穫量は実際増加していたのだろうか。

サントサ教授によると、インドネシア61の地域の農家にインタービューを行ったところ、67%の地域では収穫量は減っていた。また、2014年に比べ、平均で20%の収穫量の減少があったとのことである。

実際、インドネシアは供給量不足に直面しており、コメの輸入を増加している。2015年度の最後の四半期には84万8千トンのコメを輸入しており、現在さらに60万トンをパキスタンとインドから輸入する予定である。

そもそも、農業省がデータを改ざんする要因は二つある。

一つ目に、ウィドド大統領を安心させようとする狙いがある。二つ目に、予算を確保する狙いがある。生産量が多ければ多いほど、農務省は中央政府からより大きな予算を獲得することができる。実際、2011年には肥料の補助金として13億5千万ドルの予算を割り当てられていたのが、2016年には21億7千万ドルにまで増加した。

 

参考:http://www.reuters.com/article/indonesia-rice-data-idUSL3N15701Q

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