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ベトナム近海の環境汚染により、水産業が大打撃

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ベトナムの地元紙VnExpressは、先月30日、大規模な海洋汚染がセントラルコーストと呼ばれる沿岸部を襲い、水産業に深刻な影響を及ぼしていると報じた。また、この影響は今後もしばらく続くとも報じている。

ベトナム史上最悪の環境汚染のひとつとも言われている今回の海洋汚染の原因は、台湾最大の民間企業グループである、台湾プラスチックグループの製鉄工場から流出した有害物質であるとされている。同社は2008年から、ベトナムのハティン省の経済特区に約280億米ドルの費用をかけて、3300ヘクタール以上の広大な面積を有する製鉄工場を建設している。ここから排出される有害物質により、沿岸部の約200kmが汚染されているということだ。

ベトナム国内全体での今年1月から9月までの漁獲量は23.3万トンで、昨年の同時期よりも2.9%上昇しているとのことだが、これは環境汚染の被害を受けたセントラルコースト以外の地域で漁獲量が増加したためだと言われている。一方で現地の人々の生活には深刻な影響を及ぼし、41000人の水産業従事者を含む20万人の人々が被害を受けると政府は発表している。この被害は今後数年は続くと見られており、水産業だけでなく観光業などにも影響が及ぶのではないかと懸念されている。

また、この製鉄工場を建設している台湾プラスチックグループは、この被害についての責任を認め、総額5億米ドルをかけて、水質浄化と被害を受けた人々への補償を行うとしている。

ASEAN諸国の中でもベトナムの経済成長は著しく、日本の高度経済成長期のような時代を迎えている。日本も同様に直面した環境汚染という課題に対して、政府がどのように対応していくかが、今後の焦点となりそうだ。

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