インドネシアの農地拡大に伴う有毒ガス問題
インドネシアの山火事による煙が、シアンからアンモニアにいたる有毒ガスの混合物であることが、インドネシアのスモッグを研究する研究者によって発表された。この山火事は製紙やパーム油産業の農地拡大を目的としたもの。インドネシアは以前からこういった有害なガスを含む煙害に悩まされている。健康被害であったり、煙によるもやによる視界不良が交通障害をもたらしたりするなどの問題が起こっていた。この問題はヘイズと呼ばれる大気現象にまで発展した。
政府はそういった火の使い方を禁止しているものの、機械を使って開墾するより安価なことから、こういった問題は未だに解決していないのだ。
この煙による健康や生態系への影響は、農地を開く価値よりも重大な問題だと、Center for International Forestry Research ()の科学者は話している。この煙にはオゾン、一酸化炭素、シアン、アンモニアやホルムアルデヒドといった非常に有害な物質を含んでいる。インドネシアで発生したこのガスが周辺東南アジア諸国に蔓延していて、最近ではマレーシアの学校が休校に追いやられたほどだ。
キングス・カレッジ・ロンドンで地球観測科学の教授であるマーティン・ウースター氏は、通常大気中の一酸化炭素は1ppm(0.0001%)以下のところが、カリマンタン島の中心地では30倍にもなるという。長年バイオマスや自然環境の燃焼を研究してきたウースター氏は、この状況は最悪なものだと話している。またオランダの研究者によれば、現在のインドネシアの森林火災によって1日に放出される温室効果ガスは、アメリカ全土で放出される量を上回っているという。
かつては広大な熱帯雨林が広がり、”Lung of the world(世界の肺)”とも呼ばれた地域だが、現在ではどうやらそのような面影は見られなさそうだ。