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90年に一度のベトナム干ばつ被害に、コメの育種で対応

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ここ90年間で最悪の干ばつに見舞われているベトナム国内の農家を救うために、サイエンティストたちは、気候変動に対して抵抗力のあるコメの品種の開発を続けている。

最新の国連の報告によると、この干ばつは、関連して起こる上流域への塩水流入も相まって、159,000ヘクタールの水田を壊滅させ、100万人を水不足に陥れたという。今後もさらに被害が続く恐れがあるという。

他のアジア諸国との共同して、フィリピンを拠点とする国際イネ研究所(IRRI)は、成長が早く、塩害耐性を持ち、ベトナム・メコン地域での生育に特化した品種を育種してきたという。

今回最も干ばつの打撃を受けたメコンデルタ地域は、昨年、国のコメ生産量の半分を生産し、輸出の90%を占めていた。

干ばつは、世界中で猛威を振るうエルニーニョ現象と関連している一方で、塩害は毎年起こっている。今回の干ばつは、その塩害をさらに悪化させているのだ。気象観測が始まって以来最低の河川水位を記録しているために、塩害は通常よりも約2ヶ月早く到来し、平均よりも25キロメートル先の土地にまで広がっているのである。

2014年の干ばつの最中には、政府は北部および中央地域の農家に対し、コメではなく塩害に強い作物への転作を奨励した。

科学者たちは、今年の危機はこれから来る気候変動のほんの序の口で、干ばつや海水面の上昇はさらに起こるだろうと口を揃えている。これは農家だけではなく、ベトナム経済、そして90百万人のベトナム国民に取ってバッドニュースであろう。

ベトナムにおいて、コメは食卓の主役であり、重要な輸出物である。IRRIによると、昨年ベトナムよりも多くのコメを輸出した国はインドとタイだけなのである。

IRRIは、最盛期前後で塩水の氾濫が起こった際に起こり得る作物損失のリスクを減らす水の管理技術を開発してきた。加えて、干ばつのリスクを緩和させるために、灌漑に使う水のコストを削減すると同時に、25%もの節水が可能な水田の乾燥、再冠水サイクル技術を開発した。

塩害に強い品種や塩害への対策戦略は、気候が今後さらに厳しくなる可能性があることを考えると、ベトナムにおけるコメの生産量増加プランを実行する上でさらに重要になるだろう。かつてベトナムはコメの純輸入国であったが、ここ20年間におけるコメの生産量は倍増した。2014年、農業と地域発展を担当する大臣は、コメの生産量をさらに増加する国家戦略を発表した。

IRRIプログラムにも組み込まれた、ベトナムにて実施された調査は、各国における気候変動の影響を鑑みた上でのコメの品種改良を目的としていた。例えば、IRRIはインドやネパール、フィリピン、バングラディッシュにて栽培可能な干ばつ耐性品種を開発してきた。

同じような仕事は川の氾濫から守る事を目的としており、あるコメ品種は、2週間もの間植物全体が水没しても問題がない「スキューバ」遺伝子が組み込まれた。この品種は川の氾濫が起きやすいミャンマーやラオス、インドネシアに置いて栽培されている。科学者はアフリカにおいてもコメの品種改良を続けている。

参考:https://www.irinnews.org

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