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今後アフリカがアグリビジネスのチャンスとなる理由とは!?

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アフリカにビジネスチャンスを見出すモンサント

気候変動によって、サブ・サハラアフリカは以前に増して降雨量が減少している。南・東アフリカを現在襲い、5000万人を飢餓に追い込んでいる干ばつは始まりに過ぎないと気象専門家は話す。世界銀行によると、2030年には現在トウモロコシの栽培の使われている土地のうち40%では、現在使用されている種苗を育てることができなくなる。

モンサントは解決策の一翼を担うことができると話している。モンサントは、ケニア、モザンビーク、南アフリカ、ウガンダにおいてビル&メリンダ・ゲイツ財団と共同で、乾燥や害虫に強い種苗を試験的に栽培している。モンサントは、当該プロジェクト、 Water Efficient Maize for Africa Project (WEMA)を社会貢献活動としてだけではなくビジネスチャンスとして捉えている。「長期的な成長が見込める場合はビジネスチャンスとして捉えるべきである」とプロジェクトの責任者であり、アフリカで抵抗意識が強いGMO(遺伝子組換え作物)ではなく、交配種の仕事を数多く任されてきたMark Edge は語る。「短期的な課題は市場を構築することであり、それはどういった投資によって実現するのか理解することである。」とMark は語る。

ラストフロンティア

過去20年、世界の食糧市場に最も大きな影響を与えてきたのは中国である。また、近年はインドも世界の食糧市場を動かすようになってきた。しかし長期的に捉えた場合、アフリカこそ、アグリビジネスが最も成長機会がある市場であるかもしれない。国連によると、アフリカの人口は2050年には現在の2倍を超え、25億人に達するとしている。

モンサントのライバルであり、アフリカではモンサントよりも大きなプレゼンスを持つデュポンも乾燥・害虫への耐性がより強い種苗をアフリカに広める独自のプロジェクト、Advanced Seed Adoption Program を持つ。世界最大の穀物メジャーであるカーギルも昨年、南アフリカで動物飼育設備を拡張した。三菱商事も出資しているシンガポール大手農産品商社オラム・インターナショナルもナイジェリアやガーナで発売している自社ブランドの食料品である テイスティー・トム(トマトペースト)やパール・ビスケットへの投資を増加させた。ディア&カンパニー、CNHグローバルに次いで世界三番手の農業機械メーカーであるAgco も、アフリカで需要がある太陽光発電の小型冷却設備を開発している。

アフリカ農業のポテンシャルと課題

アフリカで農業ブームが起こると予想するだけの証拠はある。アフリカには世界で最も多くの非耕作地が存在する。作物収穫量は先進国に比べれば遥かに劣るが、よりよい種苗と肥料を用いれば収穫量は増加する。「アフリカには、増大する自分たちの人口に食糧を供給するだけのポテンシャルはある。」とガーギルのエコノミスト Tim Bodin は語る。

その一方でアフリカは多くの課題を抱えている。まず、何世代にも渡る小規模農業のせいで土地は痩せてしまった。バークシャー・ハサウェイの会長 Warren Buffet の息子である Howard Buffet は、飢餓撲滅のために使うと約束している7億ドルの一部をアフリカの土地を回復させるための “茶色の革命”のために用いるとしている。バークシャー・ハサウェイ財団は特にコンゴ民主共和国とルワンダをターゲットに、農家の市場アクセスと農法の改善に努めている。

アフリカは貯蔵庫や道などの基本インフラを欠落しているという問題も抱えている。モンサントのEdge は「東アフリカで最も発達している国の一つであるケニアで2 トンの穀物を20マイル運ぶのがどれだけ難しいか想像もつかないだろう」と語る。アフリカで収穫後に腐ってしまう穀物は、4800万の人が1年間に必要としている食糧量と同じだ。

地元政府の法律も発展を阻害している。世界的な農業シンクタンクである International Food Policy and Research Institue はジンバブエの例を挙げている。現在干ばつで食糧不足で苦しんでいるジンバブエであるが、2009年以来、最も低い食糧価格を記録している今なら、ジンバブエも輸入を増やすことも可能であった。しかし、自国の農家を保護する目的でジンバブエは、2月にGMトウモロコシの援助を受け付けないと発表した。その結果、海外からの輸入品の価格が高騰化してしまったのだ。

踏み出せるか、はじめの一歩

このように、アフリカの農業はポテンシャルはあるものの、その成長を阻害する要因が多く存在し、農業系の企業だけではアフリカ農業の成長の火付け役になることはできない。「パズルの全てのピースが上手く組み合わさらないといけない。無論、我々のような農業系の企業もアフリカ農業の成長に必要不可欠なピースであるが、我々だけでは成し遂げることはできない。」

食糧価格が低く、新しい投資のリスクが高い今は、農業系の企業はアフリカへの投資を一時保留する可能性も高い。その一方で初期投資を行った企業は必ず得すると、デュポン・パイオニアの社長である Paur Schickler は語る。アグリビジネスの最大の魅力は、グローバルなリソースを提供することによって、各地域に住む人々にその地域特有の問題を解決する力を与えることである。グローバル企業がリソースを提供すれば、気候変動にだってアフリカの農家たちは対応することができるようになる。「アフリカに食糧を供給するのには限界がある。しかし、我々はローカルな解決策を提供することができる。」とSchickler は語る。

 

参考:http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-03-31/sowing-the-seeds-of-a-farm-boom-in-africa

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