大地を守る会、国産グラスフェッドバター発売
「グラスフェッドバター」と聞いてピンとくる人はどれほどいるだろうか?ダイエットを考えている人、健康志向の人の間で話題となった「バターコーヒー」に適したバターである。
グラスフェッドバターとは農薬を一切使わない牧草を食べ、放牧で育った健康な牛の生乳から作られたバターである。火付け役となったのはアメリカでベストセラーとなった「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事(デイブ・アスプリー著) 」である。書籍中で、朝ごはんはコーヒーにグラスフェッドバターを入れた「完全無欠コーヒー(バターコーヒー)」を飲むと、ダイエットにもなる上、仕事の生産性が上がるとして話題となったのだ。
普通のバターとグラスフェッドバター、何が違うのだろうか。
英語で書くと“grass-fed butter”と”grain-fed butter”である。名前からわかることは、草を与えられたバターか、穀物を与えられたバターかの違いだ。自然の牧草を食べるということは放し飼いでストレスなく育っているということで、単にエサの問題だけでなく育てられ方が大きく異なっている。結果として、グラスフェッドバターは普通のバターより「不飽和脂肪酸」を多く含む。これがダイエットに良いのだ。
不飽和脂肪酸は分子の中に酸素と結合しやすい部分を持っており、体の中で燃焼されて分解されやすい。さらにω(オメガ)9とω3を含んでおり、中性脂肪やコレステロールを下げる働きがあると言われている。
なんとも魅了的なグラスフェッドバターだが、問題は日本で買おうとすると手に入りづらく、また輸入品ばかりで価格も高いということだった。
昨日、大地を守る会から発売された「グラスフェッド 清里キープ農場ジャージーバター」は農薬・化学肥料を一切使わない牧草を食べ、放牧で育ったジャージー牛の有機生乳で作られている。キープ農場では、牛たちの糞で作った堆肥を使って牛を育て、ホルモン剤や病気予防のための抗生物質の投与も一切おこなっていないという。
ジャージー牛の牛乳は一般的な乳牛に比べ乳脂肪分が多く黄色みが強いのが特徴で、深い味わいが人気である。
標高1400m、富士山・南アルプス山脈・秩父の山々を見渡す八ヶ岳の南麓にあるキープ農場では環境への負荷をできる限り低減した、循環型の酪農が取り組まれている。140頭ほどの牛たちが約70haの農場で1年を通して放牧され、牛舎はフリーストール方式で牛たちを個々に分ける柵を設けていないので、のんびりと自由に育っているそうだ。
環境や食の安全への注目が高まる昨今、国産のグラスフェッドバターが身近に手に入るようになったのは嬉しいニュースと言える。
来週、5月14日(日)は母の日である。母なる大地で育まれたグラスフェッドバターは素敵なプレゼントになるだろう。