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世界中から投資を集めるインドの農業インフラセクターと革新的企業

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ポストハーベストロス(収穫後消費者に届くまでの工程で生じるロス)が10%近くあるインドでは、農業インフラ向上への大きなニーズが存在する。

アメリカのインパクト・インベストメントを中核事業とするCreation Investments Capital Managementはインドの革新的農業物流企業であるSohan Lal Commodity Managiment(SLCM)に10億ルピー(1億5000万ドル)の投資を行った事には、そんな背景がある。

SLCMの事業

投資を受けたSLCMは、農業製品を貯蔵・保護するサービスを農家、加工業者、卸業者、輸入業者、輸出業者へ提供している企業だ。現時点までに、複数国で760以上の倉庫と17以上の冷蔵倉庫のネットワークを構築している。
同社は、独自のプラットフォームであるAGRI REACHを使い、ポストハーベストロスを従来の10%から0.5%にまで削減していると言う。

AGRI REACHは、SLCMが開発した、倉庫マネジメントプロセスだ。New Delihの彼らの本社から、複数箇所、複数工程にわたって倉庫を管理することができる。
本サービスの最大の特徴は、オンライン上で、リアルタイムでの情報管理とコミュニケーションを行うことができる点だ。倉庫内の従業員の持つデバイスを通じて、倉庫内の各インベントリーを追跡・記録し、テキストメッセージを通じてクライアントとのコミュニケーションを可能にする。また、このデバイスはデジタル上でサインを行うことができるので、手続きが効率化されるうえに、冷蔵倉庫の温度や湿度管理もオンライン上で行うことができる優れものだ。

同社は近年、Kissandhanという農業向け金融会社も設立している。
ノンバンク金融会社(NBFC)であるKissandhanは、現在までにインドの30000の農家に対して、25億ルピーのローンを提供している。SLCMは今回のCreation Investmentsからの資金調達を活用して、今期のローン提供額を300%増加させる計画である。

投資元であるCreation Investmentsは、プレスリリースにおいて下記のように発言している。
“我々はインド農業インフラセクターに本投資を通じて参入できて非常に嬉しいです。特に、私たちは、SLCMのインド経済におけるコアなセクターでの優れたイノベーションに深く感銘を受けました。なぜなら、彼らの素晴らしい倉庫貯蔵と商品管理に対するイノベーションに加え、SLCMはこのセクターにおいて、NBFCの設立を通じて顧客向けファイナンスサービスを提供した最初の会社です。これは、我々のインパクト・インベストメントという事業に完全に合致しています。”

大きく成長するSLCMの計画には、世界展開も含まれており、去年からミャンマーにおいて、倉庫マネジメントと購買調達ソリューションの展開を開始している。その他にターゲットとなる新興市場として、アフリカを想定しており、マラウイへの展開計画がすでに進行中である。

“我々は100%以上の成長率を目指しており、創業から毎年90%の成長率を維持しています。”と同社のスポークスマンは語る。

今回がSLCMの4度目の資金調達であり、過去にはシンガポールのPEであるEverstone Capitaからも調達していた。

2012年に、Everstoneは、カリフォルニアのアーリーステージ投資会社であるMayfield Fund、インドのVCであるNexus Venture Partners、インドで台頭するローカル銀行のICICIとともにSLCMに12億ルピー投資した。また、Everstoneは、デリーに本社のあるCrystal Crop Protectionという農薬製剤と種子ビジネスを行う会社に投資している。

インド農業インフラセクターに対する投資

インドの農業インフラは世界のプライベート・エクイティーからも多くの注目を集めている。著名な例として、シンガポールのファンドであるTemasekは、StarAgri Warehousing and Collateral ManagementというSLCMに類似したビジネスを行う企業に投資している。この企業はNBFCを持ち、農業ファイナンスサービスを提供する点でも類似している。また、Rado Equity AdvisorsというPEも、National Collateral Management ServicesというSLCMに類似した企業に投資している。

これらの倉庫貯蔵とファイナンスへの需要の高まりは、本セクターにおけるテクノロジーの発展へのニーズの高まりを表しているとも言える。それゆえ、多くのスタートアップがテクノロジー領域で誕生しており、例えば、ローカルコミュニティー向けのソーラー発電冷蔵倉庫や農場拡張サービスなどの事業を行うものが存在する。

以上のように、農場から食卓までのプロセス向上への大きなニーズの存在が、農業インフラセクターへの投資とイノベーションを促進している。

参考:https://agfundernews.com/impact-investor-supports-indian-agri-warehousing-need-through-15m-investment-in-sohan-lal4571.html

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